現在、日本で8割以上の住宅に採用されているサイディング。外壁材として高いシェア率を誇っていますが、その工法には「直貼り工法」と「通気工法」の2種類があることをご存じでしょうか?
とくに直貼り工法の場合、何も知らずに外壁塗装をすると不具合が起きる可能性があるのです。
この記事では、それぞれの工法の違いや注意すべきポイントについて詳しくお伝えします。住まいの塗装メンテナンスを検討している方や外壁の劣化が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
塗装の前に確認したい「サイディングの工法」
窯業系サイディングには、大きく分けて「直貼り工法」と「通気工法」の2種類の工法があります。まずは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
「直貼り工法」とは
直貼り工法とは、外壁の防水シートに直接サイディングを貼り付ける工法です。この工法は1990年代から2000年頃まで広く採用されていました。
しかし、空気の通り道が確保されていないため壁内に湿気がたまり、結露やカビなどが問題視されるようになりました。
その対処方法として2000年4月に施行された品確法では、「通気工法」を全国標準工法として定めています。
【直貼り工法の特徴】
- 採用時期:1990年代〜2000年頃
- メリット:工事が比較的簡単でコストを抑えられる
- デメリット:結露や凍害のリスクが高い
「通気工法」とは
通気工法は、壁とサイディングボードの間に胴縁(どうぶち)と呼ばれる部材を入れて通気層を設ける工法です。
この通気層により湿気を逃がしやすくなり、内部結露を減らして建物の耐久性を高めることができます。
また、通気層により遮熱性が高まることで省エネ効果も期待できるでしょう。
【通気工法の特徴】
- 採用時期:2000年以降
- メリット:結露や湿気による外壁の劣化を防ぐ
- デメリット:外壁の留具(釘)に負担がかかる
直貼り工法と通気工法の見分け
住まいのサイディングがどちらの工法で施工されているかは、ご自身でも簡単に見分けることができます。
サイディング外壁の下端と水切り板金との隙間に定規などを差し込んで、奥行きをチェックしてみましょう。通気工法では通気層があるため、水切り板金に余裕があり奥行きが深くなっています。
奥行きが1.0cm〜1.6cm程度ならサイディングボードの厚さ分なので、直貼り工法の可能性が高いです。2.5cm〜3.0cm程度の奥行きがあれば通気工法と判断できます。
サイディング外壁の劣化症状
サイディング外壁の劣化症状には、以下のようなものがあります。
【劣化症状】
- シーリングのひび割れ・剥がれ
- チョーキング現象(白い粉がつく)
- 外壁の色褪せ
- 塗膜のひび割れ・剥がれ
- 外壁表面の膨れ
- 外壁材のひび割れ・剥がれ
これらの症状は放置すると建物内部にも悪影響を及ぼす可能性があります。適切なメンテナンス方法により建物を長持ちさせましょう。
直貼り工法のメンテナンス方法と注意点
建物の美観と機能性を保つために、定期的な外壁塗装メンテナンスがおすすめです。
ただし、直貼り工法ではサイディング自体が劣化している可能性もあります。その場合、塗装だけでは改善できないので、サイディングのリフォームが必要になることもあるでしょう。
直貼り工法の塗装実績がある業者に依頼
直貼り工法の外壁に塗装を行う場合、外壁内部に湿気を閉じ込めないための工夫が必要です。
たとえば、透湿性に優れた塗料を使用したり、規定の範囲内でできるだけ薄く塗装したりといったコツがあります。
外壁塗装を失敗しないためにも、直貼り工法の塗装に関する知識のある塗装業者に依頼することが重要です。
サイディングの張り替え工法やカバー工法
直貼り工法で外壁内部に問題がある場合、塗装では対応できず、サイディングの張り替えやカバー工法が必要になることがあります。
- 張り替え工法:劣化したサイディングを撤去し、新しいものを貼り直す
- カバー工法:既存のサイディングの上から新しいサイディングを貼る
どちらも塗装に比べてコストが高くなるため、施工会社と十分に相談し、適切な工事を選ぶことが重要です。
まとめ
サイディングの直貼り工法と通気工法には、それぞれ異なる特徴があります。
とくに直貼り工法は結露のリスクが高いため、塗装メンテナンスを行う際には注意が必要です。また、サイディング自体に不具合が発生している場合は、張り替えやカバー工法が必要になることもあります。
住宅の外壁メンテナンスを検討している方は、施工業者に工法の確認や調査診断を依頼し、最適な方法を選びましょう。 アイビーリフォームでは、外壁塗装に関するご相談を承っています。お客様の住宅に最適なプランをご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。