伝統的な日本家屋の屋根といったら、重厚感のある瓦屋根を連想される方も多いでしょう。
近年は洋風デザインの住宅も増えており、金属屋根やスレート屋根など、瓦屋根以外の選択肢もあります。それでも、耐久性・遮音性・断熱性に優れている瓦は、今なお多くの日本人に愛され続けているのです。
今日は、屋根瓦の特徴や種類についてご紹介していきます。改めて、瓦の魅力とメンテナンス方法を確認していきましょう。
屋根瓦とは
屋根瓦は、そのほとんどが粘土瓦です。掘り起こした粘土を瓦の形にし、窯で焼き上げて作ります。日本の瓦の産地として、三州瓦(愛知県)・石州瓦(島根県)・淡路瓦(兵庫県)があります。
粘土瓦の寿命は約60年といわれており、ほかの屋根材と比べても長寿命です。色褪せもほとんどしないので、こまめな塗り替えなどのメンテナンスは必要ありません。
重さのある瓦屋根を新築で採用する際、建物の耐震性を確保するため、2000年に建築基準法が改正されました。さらに、耐震性への不安を払拭すべく、従来よりも軽量化された防災瓦の商品開発も進んでいます。
屋根瓦の種類一覧
粘土瓦は大きく分けて、「釉薬瓦(陶器瓦)」「いぶし瓦」「素焼き瓦」の3種類があります。
高度経済成長期に広く普及した「セメント瓦」、最新技術で開発された「軽量防災瓦」とあわせて、特徴をみていきましょう。
釉薬瓦(陶器瓦)
一般住宅でもっとも用いられる瓦が、釉薬瓦(陶器瓦)です。粘土を瓦の形にしたあと、ガラス質の薬剤(釉薬)を塗布して高温で焼き上げます。
さまざまな色に仕上げることができ、耐久性も非常に高く、粘土瓦のなかでも長期間美しい状態を保てるのが特徴です。
いぶし瓦
いぶし瓦は、神社仏閣の屋根にも使われることが多い瓦です。
釉薬をかけない「無釉薬瓦」の一つでもあり、瓦をいぶして表面に銀色の炭素膜を作ります。年数が経つと落ち着きのある色に変化しますが、それも風情があるでしょう。
炭素膜はただ美しい色をつけるだけでなく、雨水から瓦を守る防水性も発揮します。
素焼き瓦
沖縄の建物などに採用されている、赤っぽい瓦です。洋風建築や南欧風の建物とも相性が良く、テラコッタ瓦やスパニッシュ瓦と呼ばれることもあります。
素焼き瓦は、釉薬を使わず焼き上げる「無釉薬瓦」の一つで、粘土で瓦の形を作りそのまま素焼きします。粘土そのものの色を活かせるのが特徴です。
セメント瓦
セメント瓦は、セメント、水、砂で作られた瓦です。耐火性や断熱性に優れ、釉薬瓦よりも安価なため、1970年代〜1980年代の高度経済成長期に広く普及しました。
ただし、瓦の上から塗っている塗料が10年〜20年ほどで剥げてしまうため、再塗装メンテナンスが必要です。なお、安価で機能性の高い屋根材が次々と登場し、現在セメント瓦は製造されていません。
軽量防災瓦
軽量瓦には、従来の粘土瓦より10%〜30%ほど軽い樹脂セメント瓦などがあります。また、瓦の形状に工夫を施し、強風などで飛ばされにくくしたものが防災瓦です。
このように地震や台風などの自然災害に強い、新しい瓦が普及しつつあります。
【形状別】屋根瓦の種類
屋根瓦は、その形状から3つの種類に分けられます。
和瓦(J型)
日本でなじみのある和瓦(J型)は、波を打ったような自然なカーブのある形をしています。
カーブ部分に空気を含むため、適度な保温性や通気性にも優れているのが特徴です。和瓦の波打った形状は、雨や雪がスムーズに流れ落ちやすいメリットもあります。
スパニッシュ瓦(S型)
和瓦よりもカーブが大きく、丸みを帯びた形状のスパニッシュ瓦(S型)は、南欧風のデザインで洋風な建物にマッチします。
瓦と野地板の間に空気の層ができるので、断熱効果も期待できるでしょう。
平板瓦(F型)
平板瓦(F型)はフラットな形状で、和風・洋風どちらの建物にもなじみやすい瓦です。
太陽光パネルの設置がしやすく、屋根が広く見える効果もあります。
屋根瓦のメンテナンス方法
寿命の長い屋根瓦ですが、築年数が経つと劣化も目立ってきます。建物を守るためにも適切なメンテナンスを行ないましょう。
強風による飛来物や地震の揺れによって、瓦が割れたり欠けたりしてしまうことがあります。破損した箇所から雨水が浸入してしまうので、「瓦の差し替え」などを行ないます。
屋根の頂点に施工されている棟瓦が大きく歪むと、屋根が変形してしまうかもしれません。棟の土台に使用される「漆喰の詰め直し」や「棟瓦の積み直し」のメンテナンスが必要です。
雨漏りが発生している場合、瓦の下に設置されている防水紙が劣化している可能性があります。「葺き直し工事」や「葺き替え工事」を行なうケースもあるでしょう。
まとめ
屋根瓦は、耐水性や断熱性などにも優れており、大切な住まいを守るために重要な役割をはたしています。
長寿命の屋根瓦ですが、築年数が経つとどうしても劣化箇所がでてくるでしょう。神奈川県の外壁塗装も屋根工事も手掛けるアイビーリフォームですが、瓦工事は瓦職人さんの力を借りています。 「外壁塗装の足場を利用して、屋根のメンテナンスも同時にお願いしたい」というお客様もいらっしゃるので、外壁や屋根のことで気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。